印鑑コラム
印鑑の素材について
印鑑の材質は、大きく分けて、プラスチック(樹脂印)、木製(柘〔あかね〕・本黄楊)、水牛(黒水牛・オランダ水牛〔牛角白・牛角柄〕)、金属(チタン)、本象牙がございます。 比較的お手軽にご使用される認印では、プラスチック(樹脂印)が多く用いられます。当社では約12,000本の既製商品をご用意しており、多くのお客様にご利用いただいております。価格が手頃で軽く扱いやすい反面、耐久性がやや低く、欠けやすい点がデメリットがあります。 木製の印鑑には、主に海外産の柘(あかね)と国内産の本黄楊がございます。「木」へんに「石」と書くように、植物の中でも比較的硬質で、印鑑材料として適しています。木のぬくもりや自然素材ならではの風合いが魅力ですが、長期使用による変形や印面の摩耗が生じる場合もございます。 銀行印や実印のように、登録後は基本的に生涯ご使用いただく印鑑には、黒水牛・オランダ水牛(牛角白・牛角柄)・本象牙といった動物素材や、チタンなどの金属素材など、変形や摩耗の少ない材質をお選びになる方が多くいらっしゃいます。 水牛の角は、人間の身体でたとえると「爪」にあたるたんぱく質で構成されており、本象牙は「歯(カルシウム)」にあたります。それぞれの素材の特徴がこの違いに表れています。 チタンなどの金属製印鑑は、耐久性・耐食性に優れ、長期間ご使用いただいても劣化が少ないのが特長です。重量感があり、押印するたびに「自分の印鑑」としての確かさを実感いただけることでしょう。木製印は、自然素材のぬくもりを感じられる点が魅力です。 いずれの素材も、ぜひ実際に店舗などで手に取っていただき、ご自身に最も合う印鑑を作成されられることを願っております。
開運ブームで消えた印鑑のアタリ
印鑑の側面にある「アタリ」(または「サグリ」「丹」とも呼ばれる)は、印鑑を押す際に上下の向きを素早く判断するための目印です。特に円形の印鑑では、印面を見なくても向きがわかるため、スムーズに捺印できるという利便性があります。 しかし、一時期の開運ブームによって、このアタリが付いていない印鑑が増えました。その主な理由は以下の通りです。 印鑑は「自分の分身」という考え方 開運印鑑の世界では、印鑑は持ち主の分身であり、その身体を傷つけることは縁起が悪いとされました。 アタリを付けることは、印鑑の側面に加工を施すことになるため、「分身を傷つける」行為と見なされ、避けられるようになったのです。特に、実印や銀行印など、重要な契約や金銭に関わる印鑑では、この考え方が強く推奨されました。 「慎重な捺印」を促す意味合い 特に実印や銀行印など、法的に重要な効力を持つ印鑑を捺印する際は、その内容を十分に確認し、慎重に行うべきだとされています。アタリがないことで、捺印する前に一度、印面の上下を視覚的に確認する手間が発生します。この「一呼吸置く」時間が、契約内容の再確認や、意思決定の再考を促す役割を果たすと考えられました。 安易にポンポンと捺印するのではなく、熟考の上で押すというメッセージが込められていたのです。 このように、開運ブームの中で「印鑑を傷つけない」「慎重に捺印する」という縁起や思想が重視され、アタリのない印鑑が「開運印鑑」として推奨されるようになりました。 現在では、アタリの有無は印鑑の種類や個人の好みによって様々です。利便性を重視してアタリ付きを選ぶ人もいれば、縁起や慎重さを重視してアタリなしを選ぶ人もいます。また、最近では天然石などを埋め込んだ装飾的なアタリも登場しており、デザインの選択肢も増えています。
お勧めする『おめでたい印鑑』の話し
私がこの仕事を始めてから、もう何十年にもなるお付き合いのお客様がいらっしゃいます。 その方は、お子様が生まれるたびに銀行印や実印をご注文くださるのが、いつの間にか恒例になっていました。 月日は流れ、そのお子様方も立派に成人され、それぞれの人生を歩まれています。 そして今では、お孫様が誕生されるたびに「またお願い」とご連絡をいただくようになりました。 生まれたばかりの赤ちゃんへの“最初の贈りもの”として、私どもの印鑑を選んでくださっているのです。 「また生まれたし、印鑑頼むわ」 嬉しそうにご連絡をいただくたび、この仕事の責任と誇りを改めて感じます。 一つひとつの印鑑には、お客様ご家族の温かい想いが込められています。 そのお手伝いができることを、心からありがたく、そして誇りに思っています。
~お客様の事業の歩みとともに~ ある店舗でのエピソード
ある日、いつもご贔屓にしてくださっている内装業のお客様が、見習いの青年を連れてご来店くださいました。 まだ初々しさの残るその青年は、どこか落ち着かない表情で、親方の隣にちょこんと立っていたのを、今でもよく覚えています。 それからしばらくして、青年は親方の代理として、名刺やゴム印の注文にご来店くださるようになりました。 最初の頃はメモを手に、緊張した面持ちでしたが、何度か足を運んでいただくうちに、表情や話し方に少しずつ変化が表れました。 仕事を任されることで自信がついてきたのか、受け答えもはっきりとし、その目の奥には、仕事に向き合う誠実さが感じられるようになっていました。 そして数年が経ったある春の日のこと。 少し照れくさそうに「独立することになりました」と話しながら、ご自身の実印を作りに来てくださいました。 それまでは高校の卒業記念でもらった既製の印鑑を使っていたそうですが、独立を機に、姓名の入った実印をきちんと作りたいとのことでした。 印材や書体を選ぶ眼差しは真剣で、その姿がとても頼もしく見えました。 独立後も、ゴム印や名刺、伝票、封筒印刷のご注文で度々ご来店いただきました。 お仕事が順調なのだと、お話を伺うたびに私まで嬉しい気持ちになりました。 ある日のご来店の際、少し遠慮がちに「会社を法人にすることにしました」とご報告くださいました。 とはいえ「まだ資金に余裕がなくて…」とのことで、一番手ごろな薩摩本黄楊の代表者印と銀行印の二本セットをご注文くださいました。 「会社がもっと大きくなったら、次はチタンの立派な法人印をお願いしに来ますね」 と笑顔で帰られるその姿に、私の心も温かくなりました。 お見送りの際、少し遠ざかる彼の背中が、初めてお会いしたあの日よりもずっと大きく、頼もしく見えました。 お客様の事業の歩みに寄り添えることは、印章店で働く者にとって、何よりの喜びです。
象牙の印章について知っておきたいこと
象牙製品の輸出入は、ワシントン条約および国内法によって原則として禁止されていることは、広く知られています。 お店でも「象牙のはんこ、まだ買えるんですね」というお声をいただくことがあります。(=輸入) しかし一方で、ご購入いただいた象牙の印章を海外へ持ち出す(=輸出する)ことはできないという点は、あまり知られていません。旅行や出張の際に持参することや、海外の方へのプレゼント・お土産として贈ることも禁止されています。 そのため、浅草東京本店では象牙の印章をご購入の際、法令に基づき「象牙製品等の取引確認書」へのご署名をお願いしております。 お客様に安心して印章をお求めいただくための手続きですので、ご理解とご協力をお願いいたします。 また、当店で取り扱う象牙印鑑は、日本国政府の承認を得て輸入され、経済産業省および環境省の認定を受けた材料のみを使用しております。 ハン六は「種の保存法」に基づき、特別国際種事業者として正式に登録されています。 <特別国際種事業者 登録内容> 登録番号:第04710号 氏名又は名称:有限会社 繁緑堂 住所:滋賀県大津市大津1丁目2番32号 代表者の氏名:松室 六兵衞 取扱品目:ぞう科の牙及びその加工品 登録の有効期限の満了日:2026年5月31日 今後も法令を遵守し、正しく管理された素材を用いて、品質の高い印章をお届けしてまいります。
店舗で多いお客様の印鑑のご質問について②
「難しい漢字ですが印鑑を作ってほしいのですが・・・」 毎日、店頭には色々な印鑑ご注文のお客様にご来店いただいております。 こんな「難しい漢字」に対してのご要望も、印鑑専門店として専門的知識をもったスタッフが丁寧に接客にあたらせていただいております。 印鑑作製のため旧字体はどんなものがありますか ・・・・お客様のお名前が旧字体(常用漢字の旧字体など)を含む場合もあるかと思います。 「姓」はご先祖から継承され、「名」は親から命名されるものです。お客様の「姓名」はこの世で唯一の大切な“生の証”です。 ですから、実印や銀行印として登録印鑑を作製される場合、「愛着ある本来の難しい漢字で作ってください」というご希望は当然のことと感じます。 果たして正確な字で印鑑が出来るか不安を感じられる方もあるようです。 でも大丈夫です、ハン六におまかせください。 印鑑受注の際に、ご確認させていただくことが多い漢字を整理して分かりやすく列挙してみました。 例えば「さいとう」さんの「①さい」でも、斉藤、斎藤、齊藤、齋藤・・・と斉の字が複雑なものもありますね。皆さん、違いがお解りでしょうか。 上記の「斉、斎、齊、齋」はパソコンに入っている漢字です。 パソコンに入っていない難しい特殊な漢字もあるでしょう。 ご参考までに、弊社ウェブサイトのこちらの旧字コード表をご覧いただければ、ある程度の字型サンプルも掲載されております。弊社ウェブサイトでご注文いただく際には、その旧字コードをご指定頂けるようになっております。 パソコンにも旧字コードにも文字が無い場合、ウェブサイトでもハン六店舗においても、わかりやすく漢字をご記入・ご指示いただければ、必ずや 「本来の字」で印鑑が作製されることでしょう。 ・・・さて、ご自身のお名前の漢字はありましたでしょうか。
印鑑の書体について
印鑑の書体(文字の形)は、日常的に使用をする認印と、銀行や役所に届け出する銀行印・実印とで、基本的に分ける場合が多いです。 認印は、私たちの生活に当てはめると「普段着で生活をしている感覚」です。日常的に普段利用しており、自分の気に入った交友関係が中心で、比較的気軽に使えます。 銀行印は「スーツ」つまり仕事着のような存在で、普段の生活よりもフォーマルなイメージです。実印は「礼服」にあたり、普段はめったに使用をしませんが、ここで一番という大切な場面で出番となります。 認印は、楷書体(教科書のように誰もが読みやすい、きっちりした字体)や、古印体(印鑑の四隅に伸びた、どっしりとした重厚感のある字体)が多く使われます。認印は「誰が捺印をしたか」を他人が見てわかりやすい字体の方が使いやすいですが、普段着の感覚ですので、そこに服装とよく似ていて個性を出しても良いかと思います。 一方で、銀行印や実印は、認印とは異なり、より個人的な意味合いが高まります。 銀行や役所に届け出て、自分の存在を証明する印鑑です。 自分の届け出た印鑑が、他人に悪用されないよう、複雑な字形にして、複製をされにくい書体(印相体)での作成されることが多いです。 印相体は、線を枠につけ隙間を少なくし、八方に文字が広がることで発展を願っている書体です。届け出に使う印鑑として、最良の書体だと思います。 楷書体 古印体 印相体
海外では印鑑を使わない?国別のサイン文化との違い
海外では、日本のように印鑑が広く使われることはほとんどありません。多くの国では、契約や公的な書類に自筆のサイン(署名)を使用するのが一般的です。 国別のサイン文化と印鑑文化の違い 欧米諸国(アメリカ、ヨーロッパなど)は基本的にサイン(署名)が本人確認や意思表示の主要な手段です。 重要な契約では、サインに加えて公証人 (Notary Public) による認証が必要となる場合があります。公証人がサインが本人のものであることを証明する役割を果たします。 手紙や文書の封緘に用いられる「シーリングスタンプ」のような、印章に近い文化が歴史的に存在しますが、日本の印鑑のように法的効力を持つものとは異なります。 中国、韓国、台湾などは歴史的に印鑑を使う習慣がありました。中国では「印章」、韓国では「印鑑」と呼ばれ、日本と同様に公的な書類や契約で使用されていました。しかし、近年ではこれらの国々でもデジタル化の進展に伴い、電子署名の普及が進み、「脱ハンコ社会」へと移行している傾向が見られます。特に韓国では、若い世代を中心に印鑑を使ったことがない人も増えているようです。 日本は印鑑(はんこ)文化が非常に深く根付いています。 特に、市町村に登録された実印は、法的な効力を持つ重要な印鑑であり、不動産売買やローン契約など、人生の重要な場面で不可欠とされています。日常的には認印や銀行取引に使う銀行印など、用途に応じて様々な印鑑が使い分けられています。 印鑑は、個人のアイデンティティや意思を証明するだけでなく、家族や家系を象徴するものとしての側面も持っています。 近年、日本でもデジタル化やペーパーレス化の推進により、「脱ハンコ」の動きが進んでいますが、行政手続きやビジネス慣習に深く根付いているため、完全に廃止されるには時間がかかると考えられています。 世界的に見ると、個人の自筆サインが本人確認や意思表示の主流です。 <印鑑文化はアジアの一部に集中>印鑑文化は主に日本、中国、韓国、台湾などアジアの一部地域に限定されています。 <デジタル化の波>印鑑文化のある国々でも、近年は電子署名や電子印鑑の普及により、物理的な印鑑の使用機会が減少する傾向にあります。 海外との取引においては、日本の印鑑はほとんど通用しないため、サインを用いるのが一般的です。もし海外で書類にサインする機会があれば、サインのスタイルや公証の必要性などを事前に確認することが重要です。
紙と人生に、“証”を。
最近、手帳やノートに彩りを添えるかわいいスタンプが人気ですよね。ポンと捺すだけで、イラストやメッセージが紙の上に広がり、楽しい気分になります。 スタンプは、日常にささやかな喜びや個性をプラスしてくれる素敵なアイテムです。 一方、印鑑はスタンプとは少し違った、重みのある存在です。契約書や公的な書類に捺す印鑑は、私たちの「証明」として重要な役割を果たします。そこには、ただデザインを添えるだけでなく、「この内容に間違いありません」という強い意思表示が込められています。 一本の印鑑には、持ち主の想いや決意が宿っていると言えるかもしれません。初めて実印を作った時、大人になったような特別な気持ちになった経験がある方もいるのではないでしょうか。それは、自分自身の責任や、社会とのつながりを自覚する瞬間でもあります。 また、印鑑を捺すという行為は、単なる手続きではありません。それは、あなたの人生の大切な節目や、未来への一歩を力強く後押ししてくれる儀式のようなものです。 お作りさせていただく印鑑は、あなただけの特別な印鑑です。あなたの人生を豊かにしてくれる、一生のパートナーとして大切にお使いください。 これからお作りしようとお考えのかたは、信頼と実績のハン六に是非お申し付けください。
自治体により異なる印鑑登録のルール
実印とは、お住まいの市区町村に印鑑登録を行なった印鑑のことです。 印鑑登録のルールは各自治体が個別に定める「印鑑条例」に基づいています。 条例の大まかな内容はいずれも共通する事項が大半で、概要は以下の通りとなります。 <主な共通項目> 登録できる印鑑の数量は一人一個に限る 印鑑を登録できる年齢は15歳から 印影の大きさは8㎜以上25㎜未満 住民基本台帳に記録されている氏名、氏、名または氏名の一部を組み合わせたもの 職業、資格その他氏名以外の事項を表しているものは登録できない ゴム印など変形しやすいものは登録できない しかし、中には自治体ごとに異なる規定が設けられている場合があります。 例えば、登録する印鑑の最小サイズについて、大半の自治体では8㎜と規定されていますが、大津市では7㎜、神戸市では6㎜と、独自の規定が設けられています。 また、印鑑登録を受けることができる年齢は15歳以上である自治体が多くを占める中、神戸市では14歳になれば登録を受けることができます。 その他、登録できない印鑑として、「流し込み又はプレス加工により製造されたもの(枚方市 他)」「流し込み及び合成樹脂加工と認められるもの(忠岡町 他)」と大量生産された既製の印は登録不可であることを明確に規定されている場合や「他の者が登録を受けているもの(寝屋川市 他)」「印影がローマ字以外の外国文字で表されているもの(枚方市)」「指輪及びネクタイピン等のもの(門真市)」など様々です。 登録用の印鑑を購入される前に、お住まいの自治体では印鑑登録についてどのように規定されているか、念のため確認されておくことをお勧めします。