角印 (法人、個人事業主用)
法人 角印は、法人企業が使用する印鑑(印章)の一種で、印面が四角い形をしていますので「角印」と呼ばれます。 角印は「会社印」や「社判」とも呼ばれ、主に請求書や領収書、契約書などの企業名義で発行する文書に押され、日常的な業務で使用される認印としての役割を果たします。
レイアウトはヨコ彫も選べますが、タテ彫が一般的です。
個人事業主の方は個人の認印でも代用可能ですが、屋号で角印を作成しておいた方が、取引先への信頼性が上がるがめ、おすすめです。
次に、会社の角印の選び方についてご紹介します。
形状とサイズの選び方
法人用の認印は角印でも丸印でもどちらでも問題ありませんが、一般的には角印で作成、実印や銀行印を丸型で作成することが多いです。
法人用角印のサイズも規定はありませんが、一般的には21mmまたは24mmで作成し、文字数や書体のバランスでサイズを選びます。
また、会社の角印は実印、銀行印よりも大きめで作成することで見分けがつくようにします。
個人事業主の方の認印も同じく、角印で21mmまたは24mmのサイズで作成するといいでしょう。
書体の選び方
使用頻度が多く気軽に押印する法人の角印は、契約や公的手続きほどの効力はないため、視認性の高さを重視される場合は、隷書体や古印体がおすすめです。また、角印でも領収書などに押される場合は、印相体や篆書体にするとより重厚感を感じられます。
下記に会社用角印として、おすすめ順に書体ごとの特徴をご紹介します。
隷書体(れいしょたい)

隷書体は、紀元前の中国・前漢時代に生まれた書体で、篆書体よりも構造が簡略化された実用性の高い古典書体です。
官吏(役人)の文書作成に使用されたことから「隷(役人)の書」と呼ばれ、後の楷書や行書の基礎にもなった、漢字書体の発展において非常に重要な位置を占める書体です。
直線と曲線が交差する、落ち着いた風格と、横画が長く、縦画が短めで、横に広がるような独特のバランス感があります。
筆使いの特徴として、「波磔(はたく)」と呼ばれる横線の両端の跳ねや払いが見られ、これが隷書独特のリズムと装飾美を生み出しています。
隷書体は、現代では印鑑書体や表札、看板、書道作品、古典的なデザインに広く使われ、
法人用の角印においても、古代の格式を残しながら可読性も比較的高く、デザイン性と実用性のバランスが良い書体として人気があります。
一部の文字(糸や竹や山)などには少し個性的な形となる場合があります。
古印体(こいんたい)

古印体は、江戸時代の印判師によって手彫りされた古い印章文字の風合いを再現した、素朴で味わい深い印鑑用書体です。
篆書体を簡略化しながら、線の太さや形が崩れており、かすれやゆがみ、丸みを帯びた線などが特徴で、機械的な整いとは違う、人の手による揺らぎや温かみが魅力です。
判読性も比較的高い割に、線の太さが均一でないことから偽造されにくいため、法人用の実印から銀行印、角印(会社用認印)といった幅広い印鑑で使用されています。
一部の文字(糸や竹や山)などには少し個性的な形となる場合があります。
篆書体(てんしょたい)

篆書体は、漢字の原型ともいえる古代の書体で、秦の始皇帝が中国全土で文字を統一する際に採用した「小篆(しょうてん)」を基にしています。
印鑑や書道の世界で重用されてきた伝統的な書体で、日本では特に「印鑑用の書体」としてよく知られています。
篆書体の文字は、線が均一で丸みを帯び、縦長の形状が多いのが特徴です。曲線や左右対称を意識した構造が多く、非常に美しく整った印象を与えます。
また、古典的で厳かな雰囲気を持ち、どっしりとした重厚感があります。
篆書体は、偽造防止の観点で優れており、特に法人用の実印や銀行印など、公的な印鑑の書体として使われることが多いですが、印相体のように極端にデザインを施すのではなく、元来の漢字の形に忠実なため、比較的判読もしやすい書体で会社用角印にもおすすめです。
印相体(いんそうたい)

印相体とは、主に実印や銀行印など重要な印鑑に使用される書体の一つで、篆書体をさらに装飾的に発展した書体です。
独特のデザインが施された「印相体」は、線が太く、複雑な彫りが特徴で、その文字がひと筆書きのように滑らかにつながっており、全体として模様のように見えるのが特徴です。
可読性が低いものの、複製や偽造を困難な書体のため、法人用の実印として人気ですが、左右対称でバランスのとれた構図で作成されるため、重厚感や格式を重視したい方には、会社用角印としてもおすすめです。
篆書体よりも外枠につながる形のため、他の書体よりも外枠が欠けにくい点も特徴です。
古来中国の篆書を起源としながらも、日本国内で発展し、特に印章文化の中で「縁起の良い書体」「偽造されにくい書体」として定着してきました。
印影の中に吉相や風水的な要素を取り入れる場合もあり、印相学の考え方に基づき、運勢的にも良いと云われる配置の書体です。
それぞれの書体の特長をまとめます。
書体 | 偽造防止 | 視認性 | 格式・信頼性 | 個性・モダンさ | おすすめの用途 |
---|---|---|---|---|---|
隷書体 | 高い | 非情に高い | 高い | やや高い | 伝統とモダンの融合 |
古印体 | 高い | 高い | 高い | 普通 | 親しみやすさ重視 |
篆書体 | 非常に高い | やや低い | 非常に高い | 低い | 格式重視 |
印相体 | 非常に高い | やや低い | 非常に高い | 普通 | 偽造防止・格式を重視 |
材質の選び方
法人用の角印を作成する際の素材には自然素材の黒水牛や象牙、国産木材の薩摩本黄楊の他、金属素材のチタンなどがあります。それぞれの特徴をご紹介します。
象牙(ぞうげ)

象牙には独特の繊細な模様があり、その重量感と相まって高級感があり、朱肉との馴染みもよく印影が鮮明で、印材としては他にない最高級品です。 加工・耐久性に優れ、長期間使用しても劣化しにくく、時間とともに光沢が生まれ、朱肉を吸い上げて変色していきます。この変色は縁起が良いとされる象牙特有の現象です。
また、象牙の品質にはランクがあり、象牙の外側から内側にいくほどキメが細かくなり希少性も高くなるため高価です。 一生ものの認印として最適です。
チタン

ロケットや航空機にも使われている最先端の金属素材で、鉄よりも高い硬度で他の印材を遥かに上回る耐久性と耐摩耗性で、傷やサビにも強いため、認印の印材としてもおすすめです。 金属ということで重量感もあり、見た目も高級感があります。
ただし、チタンは希少金属のレアメタルの一種で、その硬度の高さから加工にも手間がかかるめ、チタンの認印の価格は多少高価になります。
オランダ水牛

アフリカ全土から輸入される原材料の牛の角を利用した高級印材で、古来より「オランダ水牛」という名前で親しまれています。 (歴史的背景からオランダ水牛とは言うものの、オランダ原産ではありません)
透明感があり、やや褐色の淡い色合いに「ふ」と呼ばれる縞模様が入っているのが特徴ですが、 「ふ」の少ない乳白色のものや、耐久性のある中心部分の「芯持ち材」を使った印鑑は大変貴重で高価です。br /> 弊社のオランダ水牛の認印は、この貴重な「ふ」の少ない芯持ち材を印材として使っています。 オランダ水牛の印鑑は、タンパク質が主成分のため、朱肉のなじみも良く、印影も鮮明で美しく、認印にもおすすめの印材です。
黒水牛(くろすいぎゅう)

タイやベトナムなどの東南アジアを原産とした牛の角を利用した印材です。 象牙やオランダ水牛と同じく耐久性が高く印影も鮮明で美しいですが、価格は比較的安価でコストパフォーマンスに優れています。
ただし、印材を溶かして黒色に着色して成型しなおしている印鑑はリーズナブルですが、自然のまま印材として使った「黒水牛」や 歪やひび割れに強く耐久性のある中心部分の「芯持ち材」を使った認印は、品質が高く貴重なため価格も高価になります。
弊社の黒水牛の認印は着色の無い黒水牛の芯持ち材を印材としています。
薩摩本黄楊(さつまほんつげ)

日本で古くから将棋の駒やそろばんの珠など様々な細工物の材料としても使われてきた国産の常緑低木「柘」(つげ)。 その中でも特に高品質な国産の「薩摩本黄楊」を使った認印は、硬く緻密な木目が特徴で、鮮明で柔らかな印影が得られ、価格も手ごろなため、人気があります。
軽量で自然の木材ならではの温かみと手触りですが、硬質で耐久性があり、油や朱肉に強く、変形や割れも生じにくいです。 木材のため湿気に弱いですが、弊社の薩摩本黄楊の認印は防湿加工が施されているため、使用後はしっかりとケースで保管すれば経年劣化は最小限に抑えられます。
それぞれの材質の特長をまとめます。
材質 | 耐久性 | 高級感 | メンテナンス性 | 印影の鮮明さ | コスト | おすすめ用途 |
---|---|---|---|---|---|---|
象牙 | 非常に高い | 非常に高い | 簡単 | シャープで美しい | 高い | 高級認印、一生ものの印鑑 |
チタン | 非常に高い | 高い | ほぼ不要 | 鮮明 | 中~高 | 長期使用、公的用途に最適 |
オランダ水牛 | 高い | 高い | 乾燥に注意が必要 | 柔らかい印影 | 中~高 | 個性的な印影を求める場合 |
黒水牛 | 高い | 高い | 乾燥に注意が必要 | 深く美しい | 中程度 | 高品質の認印 |
薩摩本黄楊 | 中程度 | 高い | やや注意が必要 | 柔らかく温かみ | 安い | 伝統を重視したい場合 |
ハン六オンラインショップの角印をご紹介します。使いやすく品質の高い角印を、お客様ごとにオーダーメイドで一つ一つ丁寧に作成させていただきます。
角印Q&A
法人の角印と丸印の違い
法人の丸印は実印(会社実印、代表者印)や銀行印、角印は認印として使用されます。 法人用の実印、銀行印、角印など会社の印鑑を総称して「社判」(しゃばん)といいます。
法人角印の用途と効力
会社の認印である法人角印は、請求書や領収書、見積書、納品書、代表者の決済が不要な書類など、日常的に頻繁に使う印鑑です。 法的効力はないものの、会社として確認したという証明になり、取引先に安心感や信頼感を与えます。
個人事業主に角印は必要?
個人事業主の方は個人の認印を代用すれば別途角印を作成する必要はありませんが、個人事業用の角印を作成しておいた方が、取引先への信頼性が上がるため、おすすめです。